いかにしてILCは誕生したか
整体師としての苦悩
はじめまして。統合言語コーチング協会(ILCA)代表理事の尾関直人です。
私は2008年から関東で整体を学び始め、2年ほどでのべ3000名以上の施術経験を積ませていただき2011年に地元愛知県で整体院を開業いたしました。
開業してからは年間でのべ3000名以上に施術させていただいてきました。年間3000名となると、ほぼ予約表はいっぱいという状況で経営としては有難い状況だったのですが、私には悩みがありました。
それが、「同じ症状で繰り返し来院される方」の存在でした。
そういう方は一般的には「メンテナンス客」と呼ばれ、メンテナンスのお客さんが増えることで経営が安定するから、そういうお客さんを増やしましょう、というのが整体院の普通の考え方です。
けれども、どうしても私はその考え方に納得がいきませんでした。
「なぜ、毎月毎月同じような症状で通院する必要があるんだろう?」
「ちょっと身体に気をかければ整体院に通わなくてもいいのに…」
「からだのゆがみを取ることより、もっと楽しいことにお金をかければいいのに…」
そんな整体院の院長らしからぬことを考えていたのです。
また「“根本療法”を謳っているのに、“メンテナンス”を薦めるのは矛盾しているんじゃないか?」という疑問も解消されずにいました。
「いったい“根治”とはなんなんだろうか」
ということをずっと考えていました。
そこでたどり着いたのが「心」の側面でした。
「からだの症状をもっとスッキリさせるには、心から整えておく必要があるのではないか?」
という考えから、心理療法を学ぶことにしました。
心理療法を学ぶ
様々な心理療法を学び、臨床に用いていくことにしました。
すると、整体だけをやっているときには対処できなかったような問題を、だんだんと解決できるようになってきました。
また整体施術で涙する人はほとんどいなかったのですが、心理療法をはじめてからセッションのときに涙を流す方が増え、クライエントさんとの信頼関係もグッと深まった感じがしました。
しかし依然として私の心の奥底では「根本療法とは何か?」という答えにたどりつくことはできませんでした。
整体をやめる
そんな中で徐々に「整体をやっているから整体に頼ろうとする心が出てしまい、症状が再発するのではないか」という考えに思い至りました。
というのは月1回のメンテナンスのクライエントさんが
「そろそろ施術の日だなーと思うと、コリが気になってくる」
ということを言っていたからです。
その話を聞いたときに、「いつかメンテナンス施術はなくさなければいけない」と直感しました。
「メンテナンス施術をしない」ことでクライエントさんの「自立」を促せると思ったからです。
このときは「自立させる」こそが「根本療法」だと考えていました。
そして「施術をしなくても健康を保つ方法はないか」ということをずっと探求していました。
心理療法を施療することだけではクライエントさんを自立に導くのに充分でないと痛感していたからです。
そこでセルフケアによって自立を促すことが重要だと考えました。
セルフケアで自立を促す
セルフケアのヒントとなったのが幼少の頃から学んでいた武術でした。
武術の稽古体系には「強くなる」だけでなく、身体をリラックスさせ、セルフケアに使えるものが様々あります。
その武術の研究と整体の研究を統合するキーワードが「インナーマッスル」でした。
武術も整体も「インナーマッスル」で考えていくと統一的に説明でき、これをセルフケアに活用することで、クライエントの自立を促すことができるということが分かってきました。
そこで、2014年の秋に「インナーマッスル活性化」というコンセプトしてまとめ、世間に発表していきました。
そこから「自立」のための個人セッションをはじめ、半年後の2015年3月からは東京・名古屋・大阪でセミナーや講座を展開していきました。
ハラ生き道
「インナーマッスル活性化」のコンセプトとメソッド体系を深めていくなかで、メソッドそのものを教えても、クライエントが自立していくわけではないことが分かってきました。
「これをやれば健康になり痛みも取れるよ」という方法論を提示しても、クライエントさんは思った以上に実践されないのです。
それはなぜだろうと考えていくなかで
「けっきょくのところメソッドやテクニックではなく“生き方”がもっとも重要なんだ」という考え方にたどりつきました。
そして考え方をまとめていき「ハラ生き道」ができました。
2017年1月には「ハラ生き道」を総合的にお伝えする「ハラ塾」が開始、全国から塾生さんが集まりました。
また北は北海道、南は九州と、全国的にセミナーを開き、「自らの力で心身の健康を保つこと」をお伝えしてきました。
そのなかで「すっかり姿勢も表情も変わった人」や「手術しかないかも…と心配だった腰の痛みが取れた人」などが出てきて、「整体をしなくても、効果を出せるんだ」という確信につながっていきました。
そのような活動を続けるなかで大切なことは「メソッドを教える」ということよりも「信頼関係を育み、受講生さんをよく観て、適切な声かけをすること」ことなんだと気づいていきました。
その中で「言葉」の重要性をふつふつと感じ始めていました。
ついに統合言語コーチングILCが完成!
そして2020年に、大きな変革がありました。
ついに「言葉」の体系をこれまでの研究に組み入れたのです。
言語に関しては学生のころから興味が強く、大学も言語学を専攻していました。
また詩文、散文、エッセイなどを書くのも好きで15年以上ブログも書いています。
しかし、あまりにも「言葉」が身近すぎたため、そこに自身の特質が隠されているとは気が付かなったのです。
言われてみれば、私がよく人に褒められるのは「言葉」に関してでした。
「ブログがとてもいい」
「文章が上手」
「SNSの言葉にしびれた」
そう言われることが多かったのですが、「そうかなぁ?」とどこか認められないでいました。
それが今年のはじめから、立て続けに
「尾関さんの言葉の秘密がもっと知りたい」
「尾関さんは、言葉を前面に出したほうがいい」
ということを言われ、はじめて「言葉のセミナー」をオンラインで開催してみました。
すると、そのセミナーはすぐに満席になり、また高い評価もいただきました。
そんな経験をするなかで、たくさんの「声かけ」について思い出しました。
「セッションのとき〇〇と言ってくれたから、それが励みになった」
「〇〇と言われた瞬間に、からだの中から希望が湧いてきた」
「〇〇という言葉で、大きな気づきを得た」
など「”たった一言“がこころとからだを変えた」ケースは、思っていた以上にたくさんあったのです。
「あっ、そうか“言葉”は、こんなにも心身に影響するんだ」
と、ある意味「当たり前」のことに気が付いた瞬間でした。
そして、これまでに自身が「たった一言」で気分もカラダも変わったことをたくさん思い出しました。
「なんて、言葉ってスゴイんだろう」
とこれまで大好きだった「言葉」を再評価したのです。
そして「人のこころとからだを元気にする“たった一言”を追求していきたい!」という強い思いがむくむくと湧いてきました。
すると「ハラ」という概念では括り切れなくなり、あらたにメソッド体系を再構築しはじめました。
色々な方のお力を借りながら、「こころ・からだ」のハラ生き道に「言葉」を組み込んでいきました。
そして自粛期間の1か月ほどを利用して研究と開発を続け、ついに「統合言語コーチングintegrative Language coaching:ILC」が誕生したのです。
それはまさに「からだ・こころ・ことば」が統合された瞬間でした。
ハラ生き道から、言葉を前面に押し出し、また「ゴール設定」をしっかりすることで「人生の軸」を作ることに重点を置いています。
さらに理論化体系化を進め、ILCでは誰もが順を追って適切に学べるようになりました。
また社会的に適応しやすくするため学術的要素も盛り込みました。
ILCは、まさに僕の人生が「統合」された最強のメソッドと自信を持って言えます。
これからは、「言葉の力で人びとの幸福に貢献する」をモットーにILCを広めていきたい思っています。