究極的には生きるということは、「どう立つか」ということなんだと思う。

 

地球には重力がある。

 

その重力との付き合い方こそが「立ち方」だ。

 

「立ち方」が上手であれば、重力(おもさ)が味方してくれる。

 

「立ち方」が未熟であれば、重力に邪魔され、腰痛や肩コリになる。

 

重力を味方につけられるかどうかは、「立ち方」にかかっていると言っても過言ではない。

 

 究極の立ち方・理想の立ち方とは

立ち方の究極は「自然体」にある。

すなわち「自然のものであるように立つ」ことだ。

 

つまり、花や木のように立つ。鳥のように立つ。

なおかつ石のような頑丈さと、水のようなやわらかさを兼ね備える。

 

これが「究極の立ち方」だ。

 

立ち方は「自然」を理想とする。

 

 必要最低限の力で立つ

 

話をもう少し具体的にしていくと「究極の立ち方」とは、「必要最小限の力で立つ」ということになる。

 

余計な緊張が増えれば増えるほど、立ち方は不自然になる。

 

その余計な緊張(リキみ)を排除して、最低限の力で立つ。

 

野口三千三の言葉を借りれば、

「緊張する筋肉の数はなるべく少なく、筋肉が緊張する時間はなるべく短く、筋肉が緊張する度合いは、なるべく小さく」

ということになる。

 

これは筋肉を「センサーとして使う」ということだ。

 

ガッチリと固めて立つのではなく、「揺らぎながら立つ」

 

そのバランスを取るためだけに筋肉を使う。

そんな立ち方こそが「理想の立ち方」と言えるだろう。

 

 「究極の立ち方」の実際

それでは実際に、「どこをどうやって立つか」ということをお話していこう。

 

1:足裏

「足裏の重心をどこに置くか」ということに関しては姿勢や整体の専門家、武道家によっても諸説あり、一定の見解におさまっていないのが現実だ。

 

そのうえで、ぼくの個人的な見解で言うと、

 

「土踏まずの頂点」

 

に重心を置くのが、もっともバランスがよいと感じる。

もちろん「かかと重心」も試したことがあるが、どうしても動き出しに時間がかかる、つまり負荷がかかる感じがしてやめた。

 

現在は、あるくときは「前足底に体重をかけ、かかとを紙一枚浮かす」という歩き方を採用しているが、それともっとも相性がよいと感じるのが

 

「土踏まずの頂点に重心を置く」

 

という方法だった。

 

ぼくの中では、これがもっとも「リキみ」の入りにくい立ち方であり、かつ「動き出し」もスムーズなのである。

 

土踏まずの頂点に体重をかけた感覚としては「フッ」と軽くなる感じ、脚の緊張が減る感じをイメージしていただくとよいと思う。

 

それから足裏に関しては「足の内側のライン」を意識する。

そのラインから丹田・仙腸関節にかけての「つながり」ができると、いわゆる「両脚三角」を形成することができる。

 

2:足首

足首については「足首の力を抜く」というのがポイントとなる。

 

立位時に「足首の力を抜く」のは容易ではなく、多くの人がここで戸惑う。

 

感覚としては「平均台のようなところにバランスを取って立っている状態」に近い。

 

足首を固めずに、ユラユラと立つ。

それは「土踏まずの頂点」に体重をかけるからこそ、なしうることだ。

 

足首の力を抜くことができれば、からだ全体に「ゆらぎ」が出てくる。

 

 

3:ひざ

ひざに関しては、力をいれすぎず、心なしか曲げる・ゆるめるというように考えるとよいだろう。

 

そして、膝が曲がる方向については「足指の第2趾」に向かって曲がっていくのが正常だと覚えておこう。

 

 

4:股関節

股関節は、立ち方の最大のポイントと言ってよい。

「股関節の構え」が決まれば、他はすこし崩れても問題ないし、逆に他のパーツがばっちりでも、股関節がうまく調整できなければすべて台無しになる。

 

それくらい重要なポイントと心得ていただきたい。

 

股関節に関しては「ゆるめておく」というのがポイントだ。

 

具体的には上前腸骨棘のすぐ下が、触った時にふわふわしていること。

これがポイントになる。

 

そのために「おへそと恥骨の間を伸ばす」という感覚で、骨盤の角度を調整する。

おへその前に「ぽっかりとした空間」があるような感覚が出たら正解だ。

5:尾骨と仙骨

尾骨と仙骨に関しては、かなり微妙に微細に「丸める」という意識を持つ。

骨盤全体が後傾してしまうと、股関節がうまく定まらないが、骨盤全体の「しまり」を出すために、こころなしか「丸める」という意識を持つと、うまくまとまる。

6:胸骨

胸骨は、息を吐くことによって、心なしか内側にくぼめる。

胸を張らない。かといって猫背でもない。

「絶妙な中間位」

を会得することが大切だ。

 

7:頭

頭は心なしか顎を上げ、その後に後頭部をすこし引き上げる。

すると、首の付け根が軽く固定されたようになる。

以上が、からだの各パーツの調整の仕方になる。

 

 その他、全体論

上記以外に、からだ全体に対する原理原則がある。

 

1:争力(そうりょく)をはたらかせる

争力とは、上下、左右、前後など相反する方向のベクトルの力がバランスを取り合っていること。

 

争力によって、からだ全身に「張り」が出て、気が「漲る」感じが出る。

2:揺らぎ続ける

各パーツは固定せずに、つねに揺らぎ続ける必要がある。

これは、変化し続ける自然の法則である。

 

3:呼吸は気持ちよく

難しい、複雑な呼吸法は必要ない。

呼吸は自然に気持ちよく行えば充分である。

 

4:息を吐くときに余計な緊張をゆるめていく

呼気(吐く息)とともに、からだをゆるめる。

吸気(吸う息)時には緊張しないよう、呼気のゆるみを保つ。

 

5:手先と足先を活かす

指先を活かすことで、全身を活性化することができる。

具体的には「手の指の第1関節から先だけを伸ばす」こと。そして手のひらは少しつぼめる。

これは「手の内」という秘伝。足先にも同様の感覚を作ると、下半身からさらに安定する。

 

 究極の立ち方のメリット

ほんらい、「立つ」ということはメリットを求めて行うことではない。

 

「立つ」ということは、天地自然の理(ことわり)にからだを共鳴・共振させていく営みであり、それをやったら〇〇が得られるという話ではない。

 

けれども、まったくの初学者にとって「何のメリットもない」と言われてしまうとモチベーションも下がってしまうと思うので、

 

「現世利益」的な話をしておこうと思う。

「立ち方」が上達することによって、以下のメリットがある。

 

1:肩こり・腰痛・膝痛・股関節痛などの軽減

バランスよく、自然の法則に従って、無理な筋力を用いず、重力を活かして立つことで、肩こりや腰痛などの筋骨格系の痛みやコリなどの軽減につながる

 

2:頭の中が整理される

「上手に立つ」ということには瞑想効果がある。

思考が止まり、「無」に近づくことで脳がリセットされる。

 

3:感情のクリアリング効果

「ただしい姿勢」によって呼吸が安定すると、感情のクリアリングが起こる。

実際に経験していただくと分かるが、「ちゃんと立つ」ことが出来ているときは、心理的に非常に「強い」状態になっている。

 

4:武術や格闘技、スポーツなどの上達

「存在の基本形」が上達することで、その「枝葉」にあたる「技」の上達が期待できます。

 

5:整体やセラピー、カウンセリング技術の向上

その4同様に、「あり方の基本形」が進化することで、カウンセリングなどの技術の向上につながります。

 

つまり「立ち方」が上達すれば「ストレスに強くなる」と言える。

 

以上が、現世利益的な「立ち方」のメリットである。

 

「究極の立ち方」に関しては、こちらの無料メール動画講座の5日目に解説しているので、よかったら見てみてくださいね。